交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所

桝田・丹羽法律事務所

個人事業主において、売上額や所得額に変動がない場合の休業損害について

2017/12/23

CIMG2260.JPGのサムネール画像のサムネール画像休業損害とは、被害者が事故による負傷の治療又は療養のために休業又は不十分な就業を余儀なくされ、それによって治療期間中に得られたはずの収入が得られなかったという、過去に得られたはずの利益を意味すると考えられています。
 
個人事業主の方が交通事故に遭われた事案において、治療期間の売上額や所得額が事故前とほとんど変わっていないという場合が見受けられます。
このような場合、加害者の保険会社は、収入が減っていないのであれば休業損害は発生していないなどと主張して、休業損害の賠償に応じてくれないことが多いように思われます。
 
しかしながら、以下のような場合には、休業損害の発生が認められて然るべきです。
①交通事故が発生していなければ事故前よりは多い売上額や所得額を得られたであろうといえる場合
②休業期間における売上額や所得額が事故前と変わっていなくとも、それが被害者の特段の努力によるといえる場合
③近い将来売上額や所得額が減少することが高度の蓋然性をもって予測できる場合
 
裁判官作成の文献よれば、個人事業主の休業損害について、裁判所は、例えば前年同期の売上額との比較、売上や仕入の相手方の変化や金額の変遷、事業主の勤務形態と業務遂行上の位置づけ等の視点から、事業主の提出する帳簿類とそれを説明する陳述書等を基礎資料とし、できる限り休業損害の実態を把握することに努めるという趣旨の記載があり、このような考え方は参考になります。
 
当職としては、できる限り正確に休業損害の実態を把握し、適正な賠償が実現されるよう、尽力していきたいと考えております。
個人事業主の方で休業損害についてご懸念がある場合は、お気軽にご相談下さい。
 
弁護士 桝田泰司

リハビリについての150日ルールについて

2017/12/18

benngoshi niwa.JPGのサムネール画像のサムネール画像
交通事故の被害者の方で、医師から、「事故から150日間しかリハビリを実施することができない」と説明されたと仰って相談にいらっしゃる方が時々いらっしゃいます。
 
リハビリについての150日ルールとは、健康保険を使用してリハビリを受ける場合の診療報酬を算定する際のルールです。
 
リハビリの対象となる部位に応じて、所定の点数が算定できる日数の上限が定められています。
交通事故で実施されることの多い運動器のリハビリの場合、発症から150日が一応の上限として定められています。
 
このルールに基づいて、「事故から150日しかリハビリはできませんよ。」と初診時から説明される医師もいらっしゃるようです。
 
交通事故の被害者の方にも一定の過失が認められる場合には、自己負担額を下げるべく、単価の低い健康保険を使用されているケースが少なくありません。
そのような場合は、このルールに抵触する恐れが出てきます。
 
もっとも、この150日のルールについても、例外が認められています。
「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合」等には、150日を越えても、一定の限度でリハビリを継続することが認められています。
 
ただし、例外的にリハビリの継続が認められるケースでも、診療報酬算定にあたり所定の点数が算定されるのは、1ヶ月13単位(1単位20分)に限定されています。症状が重篤な場合、極めて不十分といわざるを得ません。
 
また、所定の点数についても、150日以前より低く設定されています。
そのため、医師というよりは病院単位で、経営の観点から、150日を越えてのリハビリには積極的でないように感じられることがあります。
 
したがいまして、健康保険を使用している場合には、151日目以降のリハビリをどうすべきか、一定の考慮が必要となります。
 
医師において、150日を越えてもリハビリを継続できる例外に該当すると診断してくれれば、1ヶ月13単位(1単位20分)と少ないですが、リハビリを継続することができます。
しかし、ほぼ治癒に至っているという場合以外、1ヶ月13単位(1単位20分)では不十分な場合が多いと思料されます。
 
また、前述のとおり、150日を越えると、診療報酬算定の基礎となる所定の点数が低く設定されているため、医師において、例外を認めることに積極的になりにくいということもあります。
 
それでは、医師が例外として認めてくれそうにない場合、あるいは、例外として認めてくれたものの1ヶ月13単位では不十分な場合、どのように対処すれば良いでしょうか。
 
(医師が例外として認めてくれそうにない場合とは、本来的にはリハビリの継続が必要であるものの、健康保険のルール上、診療報酬が下がってしまうことから、例外として認めてくれそうにない場合です。
医学的に純粋にリハビリの必要性がないという場合は、やむを得ないといえます。その場合は、症状が残存しているのであれば、症状固定として、リハビリを終了するほかないといえます。)
 
そのような場合、加害者の任意保険会社が一括対応を継続して治療費を支払ってくれている状況であれば、151日目以降、健康保険の使用を取り止めて、自由診療に切り替えて、リハビリを継続することが考えられます。
 
しかしながら、150日を越えてから自由診療に切り替えることに、任意保険会社が了解しないことも十分に考えられます。
 
自賠責保険の傷害分の120万円の枠が残っているケースでは、任意保険会社が認めないということであれば、一旦治療費を立て替えて、自賠責保険会社に被害者請求するということが理論的には考えられます(ただし、自由診療で毎回立て替えていくことは、金額が多額に及ぶことから、現実的には容易ではないです。)。
 
自賠責保険の枠が既にない場合は、一旦、自由診療で治療費を立て替えておいて、その領収書を保管しておき、最終的に、加害者の任意保険会社に請求していくということも考えられます(この場合、支払を受けられないリスクが残ってしまうことにはなります。)。
 
いずれにしても、難しい状況にあることは確かです。
 
また、上記のようなケースとは異なり、健康保険を使用していないにもかかわらず、医師において、150日ルールの説明をしてくることもあるように見受けられます。
 
このような場合、医師において、150日ルールが、健康保険を使用する際のルールであることを十分に理解されていないように感じられることが少なくありません。
その場合、150日ルールは、あくまで健康保険を使用するに際してのルールであり、自由診療を前提とした交通事故の治療には適用がないことを、丁寧に説明して理解して頂く必要があります。
 
ただ、病院として、一律、健康保険のルールにリハビリの上限を合わせてしまっている場合もあり得ます(確かに、自由診療を前提とした交通事故治療であろうが、健康保険を使用した治療であろうが、医学的なリハビリの必要性は変わらないはずともいえますので、全く不合理とはいえません。)。
病院のルールといわれてしまうと、苦しいところです。
 
そのような場合は、治療の途中で他の病院に転院することを考えるほかありません。
交通事故の治療において、途中で転院すると、症状が残存してしまった場合でも、「途中の経過が分からないので、後遺障害診断書は書けない」といわれてしまうことがあります。
 
また、後遺障害診断書を書いてくれる場合でも、最初の病院の医療記録の記載との不整合が生じることがあるなど、不利益が生じることが少なくないです。
そのため、治療途中での転院は、あまりお勧めはできないのですが、リハビリを機械的に150日で終了させられてしまうことによる不利益と比較考量して、方向性を定めるほかありません。
 
以上のように、リハビリの150日ルールを持ち出されると一筋縄ではいかないことが多いです。
150日ルールでお困りの際は、専門家にご相談されることをお勧め致します。
 
弁護士 丹羽 錬
 

自転車の通行ルールと過失割合

2017/12/15

mizunashi.JPGのサムネール画像のサムネール画像
交通事故において、自転車と四輪車・単車の事故は、しばしば見られます。
当事務所においても、自転車に乗っている際に四輪車・単車と衝突する交通事故に遭い、ご相談に来られる方がいらっしゃいます。
 
自転車と四輪車・単車の事故においても、過失割合が問題になることが多いです。
実務上過失割合の算定において参照される別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」という書籍においても、「自転車と四輪車・単車との事故」という独立の項目が設けられています。
 
その中において、自転車側の過失割合を加算する要素も何点か記載されています。これらは、道路交通法に定められた自転車の通行ルールに基づくものが多いです。すなわち、自転車の通行ルールに違反して事故に遭った場合には、自転車を運転していた側に、過失が加算されることがあります。
したがって、あらかじめ自転車の通行ルールをいくつか知っておくことは有益です。
 
1 自転車が通行すべき場所
道路交通法上、自転車は「軽車両」とされており、原則として、自転車は道路もしくは路側帯を通行することと定められています。
また、自転車は原則として道路の左側部分を走行しなければならないと定められています。
 
簡単に言えば、道路を走行する際には、自転車も自動車と同じように左側通行をしなければならないということになります。右側通行をすると、道路を逆走する形になって危険ですから、これは常識的にも理解しやすいかと思います。
よって、自転車で道路上を右側通行した場合には、過失を加算される場合があり得ます。
なお、自転車道がある場所では、自転車道を通行しなければなりません。
 
2 歩道を通行できる場合
もっとも、現在の一般の交通事情として、自転車に乗る際、歩道を走行されることが多いのではないかと推測致します。
しかしながら、道路交通法上、自転車が歩道を通行できる場合として定められているのは、以下のものとなっています。
 
ⅰ 道路標識等によって自転車の歩道通行が許されている場合
ⅱ 運転者が幼児・児童(13歳未満)、高齢者(70歳以上)である場合
ⅲ 道路の状況、自動車の交通量やその他の状況から、歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合
 
よって、ⅰ~ⅲ以外の場合に、自転車で歩道を通行した場合には、過失を加算されることがあり得ます。
 
3 歩道を通行する際のルール
2の歩道を通行できる場合でも、歩道を通行する際には、以下のルールがあります。
 
ⅰ 歩道の中央から車道寄りの部分を通行すること
ⅱ ⅰの部分を徐行すること
ⅲ 歩行者の通行の妨げになる場合には、一時停止すること
 
よって、歩道の通行が許されている場合でも、ⅰ~ⅲに違反した場合には、過失を加算されることがあり得ます。
 
4 その他のルール
その他、以下の場合などには、過失を加算される場合があり得ます。
 
ⅰ 酒気を帯びて自転車を運転した場合
ⅱ 自転車を2人乗りで運転した場合
ⅲ 夜間に無灯火で運転した場合
ⅳ 2台以上の自転車で並進した場合
ⅴ 傘を差しながら片手で運転した場合
ⅵ 携帯電話で通話しながら、または画面を注視しながら運転した場合
 
このような自転車の通行ルールについては、意外と知らなかったという方も多いのではないかと思われます。
 
交通事故に遭わないことが一番ですが、万が一事故に遭ってしまった場合に備えて、あらかじめこのような自転車の通行ルールを知っておくことが肝要です。
 
ただ、事故に遭ってしまった場合でも、過失割合は事故の具体的状況により変動する可能性があります。
自分の事故の過失割合はどうなるのか、保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかない等、お困りの際には、専門的知識を有する弁護士に相談することをお勧め致します。
 
弁護士 水梨雄太
 

プロフィール

当事務所は、交通事故の被害者側に特化した法律事務所です。交通事故事件に関する十分な専門性・知識・経験を有する弁護士が事件を担当致します。
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