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桝田・丹羽法律事務所

  • 逸失利益

後遺障害等級14級が複数認定された場合の取扱について

2017/05/07

むち打ち.png交通事故によりお怪我をされ、適切な治療を受けた場合でも、残念ながら後遺障害が残ってしまうことがあります。その場合、加害者に対して、後遺障害慰謝料及び後遺障害逸失利益等を請求することができます。
 
後遺障害の程度に応じて、支払われる後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料は異なります。
基本的に、重い後遺障害が残存した場合には、それより軽い後遺障害が残存した場合と比較して、高額な賠償金が支払われることになります。
 
このような考え方からすると、複数の後遺障害が残存してしまった場合、1つの後遺障害が残存した場合と比較して、高額な賠償金が支払われるべきと考えられます。
しかしながら、後遺障害等級14級が複数認められる場合には、必ずしもそのような取扱いにはなっていません。
 
自動車損害賠償保障法施行令によれば、後遺障害等級13級以上に該当する後遺障害が複数認定された場合、重い方の後遺障害の等級を繰り上げる(したがって、支払われる損害賠償金額は増加する)とされていますが、後遺障害等級14級が複数認定された場合には、後遺障害等級の繰り上がりはなく、併合14級との認定がなされることになっています。
このため、後遺障害等級14級に該当する後遺障害が複数残存してしまった場合でも、加害者側の保険会社からは、後遺障害等級14級に該当する後遺障害が1つ残存した場合と同額の損害賠償金の提示しかなされないことが一般的です。
そのため、14級が複数認定されている場合でも、14級が1つだけ認定されている場合と同様の内容で示談が成立していることが多く見受けられます。
 
後遺障害等級14級が1つ認定された場合と複数認定された場合(併合14級)とで、支払われる損害賠償金に差がないという結論については、納得できない方も多いのではないかと思います。
実際、交通事故被害者の方々から、そのような意見を聞くことが多いです。
 
交通事故に関する我が国の民事損害賠償請求実務においては、被害者の年齢、職業、後遺障害の部位・程度、当該被害者の職業に対する具体的な影響の程度等諸般の事情を総合的に判断して、適切な損害賠償金が認定されるという建前になっているのですが、後遺障害等級14級が1つ認定された場合と複数認定された場合(併合14級)とで、大きな差は出ていない印象を受けています。
 
この点について、諸外国の状況はどうなっているのでしょうか。
 
フランスでは、後遺障害の程度を判断する査定医の制度があり、個別事案に即した判断がなされています。
 
また、スウェーデンの場合には、後遺障害の程度について、累積割合総合評価方式と呼ばれる方式が採用されています。
累積割合総合評価方式というのは、例えば、労働能力喪失率5%の後遺障害①と同じく5%の後遺障害②が残存してしまった場合、5%+(100%-5%)×5%=9.75%の労働能力喪失率を認めるという方式です。
つまり、14級が2つ認定されている場合には、労働能力喪失率は5%ではなく、9.75%と考えることになります。
 
このような諸外国における取扱いも参考にしつつ、我が国においても、個別事案に即した柔軟で適正な損害賠償金の認定がなされるよう、微力ながら日々の業務に取り組んでいきたいと考えております。
 
具体的には、14級が複数認定されている場合には、14級が1つだけ認定されている場合とは異なる賠償金が支払われるよう粘り強く交渉していきたいと考えております。
 
弁護士 桝田泰司
 

ホステス、スポーツ選手など、特殊な職業の方の逸失利益について③

2015/06/11

流行に左右される職業あるいは年齢的な制限のある職業等について、その職業に基づく収入を一定期間まで認めて、それ以後は、賃金センサス等の平均賃金を参考に逸失利益を算定するという手法を採用した裁判例は、以下のとおりです。
 
-競艇選手-
【東京高判平成9年1月29日判決】
症状固定時39歳の男性の事案
47歳まで競艇選手としての収入(年580万659円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子高卒45歳~49歳平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-競輪選手-
【広島地判平成17年9月20日判決】
症状固定時45歳の男性の事案
55歳まで競輪選手としての収入(48歳まで年2204万9878円、55歳まで年1642万円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子学歴別平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-レーサ-
【東京地判平成15年10月29日判決】
事故時39歳の男性の事案
45歳までレーサーとしての収入(年915万1807円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子大卒45歳~49歳平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
-パチンコ釘師-
【仙台高判平成8年1月29日判決】
症状固定時49歳の男性の事案
52歳まで釘師としての収入(月額120万円)
その後、67歳まで、賃金センサス男子学歴計年齢別平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
短期的に高額の収入を得ている、いわゆるデイトレーダーが事故に遭ったような場合にも、同様の考え方が適用される可能性があります。
したがいまして、デイトレーダーが事故に遭ったような場合には、適正な逸失利益を獲得するために、過去の実績や将来の可能性について、丁寧に主張・立証していく必要があるといえます。
 
 
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ホステス、スポーツ選手など、特殊な職業の方の逸失利益について②

2015/06/10

ホステス、競輪選手、競艇選手、レーサー、パチンコ釘氏等、流行に左右される職業あるいは年齢的な制限のある職業等について、その職業に基づく収入を一定期間まで認めて、それ以後は、賃金センサス等の平均賃金を参考に逸失利益を算定するという手法を採用した裁判例は、以下のとおりです。
 
-ホステス-

ホステスに関しては、以下のとおり、30歳、33歳、35歳、45歳まで、ホステスとしての収入を認めて、それ以後は、賃金センサスによる収入で認定されています。
ホステスの具体的な態様次第ではありますが、裁判所は、概ね30代半ばくらいまでは、ホステスとして高額の収入を得られる蓋然性があると考えているようです。

【大阪地判平成10年10月19日判決】
死亡時28歳の女性の事案
33歳までホステスとしての収入(年691万4268円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計30~34歳の平均賃金(年370万4300円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【福岡地判平成12年9月20日判決】
死亡時25歳の女性の事案
30歳までホステスとしての収入(年432万1600円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計30~34歳の平均賃金(年384万4600円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【東京地判平成16年3月23日判決】
症状固定時時40歳の女性の事案
45歳まで女優及びホステスとしての収入(日額2万421円)
その後、60歳まで、賃金センサス全労働者全年齢平均賃金(年487万9700円)
その後、67歳まで、賃金センサス女子学歴計全年齢平均賃金(年329万4200円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
【名古屋地判平成21年8月28日判決】
症状固定時22歳の女性の事案
35歳までホステスとしての収入(年477万1280円)
その後、67歳まで、賃金センサス全労働者全年齢平均賃金(年343万4400円)を基礎収入として逸失利益を認めています。
 
 
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