交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所

桝田・丹羽法律事務所

  • 休業損害

休業が連続していない場合の休業損害の算定方法について

2019/03/27

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交通事故に遭われた後、交通事故による傷害やそれに伴う症状の治療のために、仕事を休んで医療機関に通院する被害者の方も多く見受けられます。
 
通院による休業のため収入が減少してしまった場合には、相手方に休業損害を請求することができます(有給休暇を使用した場合は、収入は減少しないものの、本来自由に使うべき有給休暇を通院のために使用せざるを得なかったとして、休業損害を請求することができます。)。
 
休業損害の算定方法については、一般的に次のように説明されることが多いです(これを以下「方法1」といいます。)。
 
【方法1】
(事故前3ヵ月間の収入)÷90日×(休業日数)
 
つまり、事故前3ヵ月間の収入を90日で除して、1日あたりの収入を算定し、これに通院のために休業した日数を掛ける方法です。
 
方法1は、土・日・祝日等の休日が90日に含まれているため、交通事故の後に連続して休業している場合に妥当する算定方法といえます(ただし、休業日数に、休業期間中の土・日・祝日等の休日も含める場合に限ります。)。
 
しかし、休業が連続していない場合、例えば、交通事故の後も仕事に行っているが、週に1~2回は通院のために休業している場合などには、基本的に休業日数に土・日・祝日等の休日を含めないことになります。
そのため、方法1を採用すると、1日あたりの収入が実際の損害に見合わないことになってしまい、妥当な算定方法とはいえません。
 
そこで、休業が連続していない場合には、次の算定方法を用いるべきです(これを以下「方法2」といいます。)。
 
【方法2】
(事故前3ヵ月間の収入)÷(事故前3ヵ月間の実勤務日数)×(休業日数)
 
方法2は、事故前3ヵ月間の収入を実勤務日数で除するため、1日当たりの収入が実際の損害に見合ったものとなり、休業が連続していない場合に妥当な算定方法といえます。
 
具体例として、事故前3ヵ月間の収入を90万円、実勤務日数を60日、休業日数を連続していない20日とした場合を考えると、以下のとおりとなります。
 
<方法1>
90万円÷90日×20日=20万円(1日あたりの収入は1万円)
 
<方法2>
90万円÷60日×20日=30万円(1日あたりの収入は1万5000円)
 
算定方法の違いだけで10万円もの差が出ることになります。
 
これだけの差が出るにも関わらず、休業が連続していない場合でも、保険会社は方法1によって算定した休業損害を提示することがほとんどです。
したがって、本来支払われるべき適正な休業損害が支払われていない被害者の方も、残念ながら多数いらっしゃるのではないかと考えられます。
 
治療期間中に、方法1で算定された休業損害を支払われていた被害者の方でも、最終的な示談交渉の場面において、方法2で算定された休業損害に引き直し、方法2で算定された休業損害と、方法1で算定されて既に支払われている休業損害との差額を請求することは可能です。
 
「自分に支払われている休業損害の額は適正なのか」
「保険会社から提示された休業損害の額は適正なのか」
等、ご懸念がある場合は、専門的知識を有する弁護士にご相談されることをお勧め致します。
 
弁護士 水梨雄太
 

勉強会の開催について-高齢主夫の休業損害-

2018/09/26

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当事務所では交通事故に関して、事務所内で週に2回勉強会を開催して、交通事故に関する最新文献を分析しております。
 
また、1~2ヶ月に1度程度、事案検討会を開催して、成功事例、失敗事例、新奇事例について情報の共有化を図っております。
 
更に、他事務所の弁護士と交通事故に関する勉強会を3~4ヶ月に1度程度の頻度で開催しており、交通事故に関する様々な論点を分析しております。
 
先日は、「高齢主夫の休業損害」がテーマでした。
 
主婦ではなく、主夫です。
つまり、男性が家事労働に従事していて、事故に遭った場合の休業損害についてです。
 
裁判例は、認める場合と認めない場合とに分かれており、具体的事情に応じて、個別の判断がなされています。
 
裁判例で重視される事情は、以下のとおりです。
①家事の分担状況
②同居家族(家事労働を享受する家族)の数
 
家事の分担状況については、全体のうちの一定程度で足りるとするものから、主として担っていたことを要求するものまで、様々であり、裁判官による当たり外れが大きいといえます。
 
同居家族の数についても同様です。
最低1人は必要なことは、当然ですが、妻以外に子が居る場合でも否定されている場合もあり、一律ではない状況です。
 
実務的には、裁判例を分析して、家事に従事している事情を最大限主張立証していくほかないといえます。
 
以上のような実務の状況について議論を行いました。
 
当事務所では、所内での勉強会・事案検討会に加えて、他事務所とも勉強会を開催するなどして、交通事故に関する研鑽を深めるよう努力を続けております。
 
交通事故に関してお困りの方は、お気軽にご相談下さい。
最大限のサポートを致します。
 
弁護士 丹羽 錬
 

個人事業主において、売上額や所得額に変動がない場合の休業損害について

2017/12/23

CIMG2260.JPGのサムネール画像のサムネール画像休業損害とは、被害者が事故による負傷の治療又は療養のために休業又は不十分な就業を余儀なくされ、それによって治療期間中に得られたはずの収入が得られなかったという、過去に得られたはずの利益を意味すると考えられています。
 
個人事業主の方が交通事故に遭われた事案において、治療期間の売上額や所得額が事故前とほとんど変わっていないという場合が見受けられます。
このような場合、加害者の保険会社は、収入が減っていないのであれば休業損害は発生していないなどと主張して、休業損害の賠償に応じてくれないことが多いように思われます。
 
しかしながら、以下のような場合には、休業損害の発生が認められて然るべきです。
①交通事故が発生していなければ事故前よりは多い売上額や所得額を得られたであろうといえる場合
②休業期間における売上額や所得額が事故前と変わっていなくとも、それが被害者の特段の努力によるといえる場合
③近い将来売上額や所得額が減少することが高度の蓋然性をもって予測できる場合
 
裁判官作成の文献よれば、個人事業主の休業損害について、裁判所は、例えば前年同期の売上額との比較、売上や仕入の相手方の変化や金額の変遷、事業主の勤務形態と業務遂行上の位置づけ等の視点から、事業主の提出する帳簿類とそれを説明する陳述書等を基礎資料とし、できる限り休業損害の実態を把握することに努めるという趣旨の記載があり、このような考え方は参考になります。
 
当職としては、できる限り正確に休業損害の実態を把握し、適正な賠償が実現されるよう、尽力していきたいと考えております。
個人事業主の方で休業損害についてご懸念がある場合は、お気軽にご相談下さい。
 
弁護士 桝田泰司

プロフィール

当事務所は、交通事故の被害者側に特化した法律事務所です。交通事故事件に関する十分な専門性・知識・経験を有する弁護士が事件を担当致します。
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