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正面衝突、赤信号無視による激突等の大きな事故の際の後遺障害の見落としについて

2020/11/29

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弊所で数多くの交通事故事案を取り扱っていますと、ご相談に来て頂いた時点で、後遺障害がすっぽりと見逃されてしまっているケースを目にすることがあります。
 
特に正面衝突、加害者の赤信号無視による激突のような大きな事故に遭われて、救急搬送されて、相当期間の入院をされたような場合に、後遺障害が見逃されていることが散見される印象を持っております。
 

見逃しの類型

以下のような類型に分類できます。

1 診断名自体が漏れてしまっているケース

大きな事故で、多数の部位に重度の怪我を負ってしまったような場合、医師は、骨折等の外傷が顕著な部分だけに診断名を付けて、それ以外の部分について、何らの診断名が付けられていないことがあります。
あるいは、骨折等の顕著な部分以外は、全身打撲等の大ざっぱな診断名が付けられていて、頚椎捻挫、腰椎捻挫等の細かな診断名が付いていないことがあります。
このような場合には、その骨折等の顕著な診断名の部分に、後遺障害が残らない限り、それ以外の後遺障害が見逃されてしまうことが起きてしまいます。
 

2 症状が残っているものの後遺障害診断書が作成されていないケース

診断名自体は付けられていても、主治医においては、一応の生活が出来る程度に身体が回復したことで、十分と考えてしまうのか、後遺障害診断書が作成されていないことがあります。
この場合、後遺障害診断書が作成されていない以上、後遺障害は残っていないものとして扱われてしまいます。
 

3 後遺障害診断書は作成されているものの、一部の症状が抜け落ちてしまっているケース

後遺障害診断書自体は作成されているものの、骨折等の外傷が顕著な部分に起因した症状だけが記載されていて、それ以外の症状が、すっぽりと抜け落ちてしまっていることがあります。
この場合、後遺障害自体は認定されうるのですが、一部の症状がそもそも審査の対象になっていないので、見落とされてしまうことになります。
 

見落とされる原因について

1 医師は治療の専門家ではあるものの後遺障害の専門家では必ずしもない

医師は治療についての専門家ですが、後遺障害については必ずしも精通していないという実情があります。
そのため、どのような症状が残存していたら、どういう後遺障害が認定されるのか、正確に把握されていないことが多いです。
それ故に、一部の症状が見逃されるということが起きてしまいます。
 

2 医師によっては「日常生活が一応送れる程度まで回復すれば十分」と考えてしまっている節がある

命が助かっただけでも良かったというような大きな事故の場合、医師によっては、日常生活が一応送れる程度まで回復すれば十分と考えてしまっているような印象を受けることがあります。
そのような場合は、身体の一部に痛みや痺れが残っていたとしても、見逃されてしまうことになります。
 

3 医師は専門外の領域に関与しようとしない傾向がある

交通事故の症状は、多くの場合、整形外科の領域に留まります。
ただ、大きな事故の場合、脳神経外科、耳鼻科、形成外科等、多数の分野に及ぶことが少なくないです。
しかし、医師は自分の専門外の領域には関与しようとしない傾向が強いですので、骨折等の整形外科的な傷病がメインの場合、それ以外の症状が見逃されがちです。
 

後遺障害が見逃されてしまうと、どうなってしまうか

弁護士が介入しない場合は、通常、加害者の保険会社が後遺障害の申請を行うことになります。
加害者の任意保険会社は、被害者の方が病院から取り付けた後遺障害診断書を、最低限の資料を整えて、自賠責保険会社に提出するだけです。
(非常に稀に加害者の保険会社にも善良な方が居て、指摘してくれることがありますが、通常は期待できません。)
 
そうすると、一部の症状が抜け落ちていても、誰も何も指摘してくれません。
仮に、後遺障害診断書自体が作成されていなければ、後遺障害はないものとして取り扱われることになります。
 
後遺障害の審査を行う札幌自賠責損害調査事務所では、送られてきた後遺障害診断書を元に調査をします。
基本的に書面審査です。
面談での審査は醜状障害以外では基本的に行われていません。
そのため、後遺障害診断書に記載が漏れてしまっている症状について、調査がなされることは基本的にありません。
 
したがって、後遺障害診断書が作成されていない、ないしは一部の症状が抜け落ちている場合は、そのままになってしまいます。
 
現状、被害者の方が受領できる賠償金の多くが後遺障害に関するものとなっていますので、被害者の方は、被害に見合った適正な賠償を受けられないということになってしまいます。
 

弁護士が介入した場合

弊所では、治療の終了時に、自覚症状が残っていないか必ず確認します。
大きな事故の場合には特に念入りに確認するようにしております。
そして、自覚症状が残っている場合は、後遺障害申請することを助言します。
 
また、医師が作成した後遺障害診断書についても、記載内容を精査して、記載の抜け、漏れがないか必ず確認します。
もし、自覚症状が漏れていれば、医師に追記をお願いしますし、必要な検査が実施されていなければ、改めて、検査を実施してもらうことになります。
 
大きな事故に遭われて後遺障害が心配な場合は、お早めにご相談頂くことをお勧め致します。
治療終了前の方が確実ですが、示談前であれば、治療が終わってしまっていても、医師にお願いして、遡って、後遺障害診断書を書いてもらうことができることもあります。
 
示談後であっても、加害者の保険会社に提出した示談書(免責証書)に、「将来、乙(被害者)に後遺障害が認定された場合は別途協議する。」といった趣旨の記載がなされていれば何とかなる場合もあります。
 
正面衝突や赤信号無視による激突等の大きな事故に遭われて、後遺障害について、ご懸念があるような場合は、お気軽にご相談下さい。
 
弁護士 丹羽 錬

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