交通事故の被害者側に特化した札幌の法律事務所

桝田・丹羽法律事務所

  • 2021年2月

自保ジャーナルNo.2077号(令和3年1月14日発行)に、弊所で担当した事案が掲載されました

2021/02/05

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むち打ちによる自賠責14級9号の認定に留まった被害者について、札幌地方裁判所が12級13号を認定したケースです(札幌地裁令和2年3月27日判決)。
 
提訴から、約2年2ヶ月、16回の期日を経て、当方の請求した後遺障害等級が認定されました。
解決までかなりの時間を要しましたが、被害者の方もご納得のいく判決を獲得することができました。
本件は控訴されて高裁でも争いになりましたが、12級13号の後遺障害を前提とした和解で解決致しました。
 

事案の概要

被害者の方が車両に乗車して走行中に後方から追突されたという事故態様でした。
事故により、頚肩部痛、右上肢の痺れ等の症状が発症して、約11ヶ月の治療を継続したものの、症状が残存したというケースでした。
 
自賠責保険で14級9号が認定されたものの、症状が強く就労に支障が出ているとのことで、異議申立(再申請)を行いましたが、等級変更はなされませんでした。
 
そこで、被害者の方と相談して、訴訟に踏み切ることと致しました。
自覚症状を裏付ける画像所見があり、神経学的所見も一定程度存在する状況でしたので、裁判官によっては、12級を認定する可能性があると見通しを立てました。
 
自賠責保険の認定を超える請求となりましたので、相手方からは熾烈に争われました。
相手方からは、3人の医師による意見書が提出され、後遺障害は14級に留まるとの主張が執拗になされました。
 
当方においても、外部の画像鑑定機関に複数依頼して、さらに外部の整形外科医に意見書の作成を依頼するなどして、的確に対応していきました。
 
その結果、最終的に、12級13号を認める判決を獲得することができました。
 

認定の要因

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裁判官が12級13号に該当すると判断した要因は以下のとおりと分析しています。
 
①被害の実態が大きかったこと
被害者の方は、右上肢の痺れ等の影響もあり、事故前から20年以上勤めていた仕事を辞めざるを得なくなりました。そのため、収入が3分の2程度になっていました。
事故による、経済的な損失は、12級が認定されても補えない程度に膨らんでいました。
この事実が大きかったように思います。
②症状を裏付ける画像所見が存在したこと
③症状を裏付ける神経学的所見が存在したこと
 
12級13号については「局部に頑固な神経症状を残すもの」と規定されているだけで、その具体的な認定要件が、明確に定められているわけではありません。
そのため、裁判官からすれば、14級9号でも、12級13号でも、どちらでも判決を書けるという事案が少なくないと思料されます。
本件も、恐らくは、14級9号でも、12級13号でもどちらでも、判決を書くことができたのではないかと推測されます。
 
そういった場合に、裁判官の心を動かすのは、やはり就労への実際の影響、収入の減少、転職を余儀なくされた事実などの被害の実態です。
当該事故により、実際に、被害者の方が、どれだけの被害を被っているのか、それを丁寧に主張立証して、訴訟で明らかにしていくことが肝要です。
 
医学的な主張を幾ら積み重ねても、画像も神経学的所見も、評価が分かれることが少なくないです。
まして、裁判官は医師ではないので、医学的には素人といわざるを得ません。
ギリギリと詰めていって、医師の判断が分かれているような場合、厳格な判断はできないといわざるを得ません。
そのため、医学的な主張・立証は必ずしも決定打にはならないことが多いです。
 
医師の判断が割れているような状況下、大事なことは、裁判官に、「この事案の被害者は助けなければならない」と思わせることです。
 
弊所では、医学的主張を積み上げることはもちろん致しますが、被害の実態を明らかにすることにも力を注いでいます。
それが、裁判官には圧倒的な説得力を持つからです。
 
自賠責保険の判断がどうしても納得いかないという場合、全ての事案が裁判所で覆るというわけではないですが、裁判所で覆る見込みが有るかどうかはある程度見通しが立つことも少なくないです。
 
自賠責で非該当の判断が示された、あるいは認定されたものの等級に納得がいかないという場合は、裁判所に直接、後遺障害等級を認定してもらうという手法もあり得ます。
ご懸念がある場合は、お気軽にご相談頂きましたら幸いです。
 
弁護士 丹羽 錬

プロフィール

当事務所は、交通事故の被害者側に特化した法律事務所です。交通事故事件に関する十分な専門性・知識・経験を有する弁護士が事件を担当致します。
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