自賠責保険にて後遺障害等級が認定されたが、訴訟で非該当と判断された裁判例

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我々弁護士は、自賠責保険の認定した後遺障害等級を前提として、訴訟提起を行うことが多いです。
自賠責保険の認定した等級どおりで訴訟提起することも多いですが、さらに重い等級の認定を求めて訴訟提起することも少なくありません。
訴訟提起の前提として、当然ですが、少なくとも自賠責保険の認定した後遺障害等級に応じた損害が支払われるという考えが存在します。
 
しかしながら、時に、裁判所において、自賠責保険の認定した後遺障害等級が否定されてしまうことがあります。
 
訴訟提起すると、一般的には、損害額は全て訴訟基準で算定されますし、遅延損害金、弁護士費用相当額がプラスされますので、時間を要するものの、任意交渉での解決より、多額の賠償金を獲得できることが多いです。
被害者の方も、そういった説明を受けて、訴訟に踏み切ることが多いかと思われます。
 
しかし、自賠責保険の認定した後遺障害等級が否定されてしまえば、如何に訴訟基準で損害額が算定されて、遅延損害金や弁護士費用相当額がプラスされたとしても、最終的に認められる金額は、非常に小さなものとなってしまいます。
 
裁判所の判断が真実を反映したものとは限りません。
裁判官は、証拠から厳格に事実を認定します。
証拠がない事実は、基本的に認定されません。
証明が難しいことは、例え真実であったとしても、裁判の結果には反映されないということが起こり得るのです。
 
痛みや痺れといった症状は目に見えません。
現代の医学で人間の身体のことが全て解明されているわけではありません。
 
現代の医学でメカニズムの説明が困難な自覚症状が主体の後遺障害の場合、客観的に証明することが困難なことが有り得ます。
そういう場合に、証拠裁判主義と立証責任を盾にして、ガチガチに争われると、自賠責保険の後遺障害認定が覆ることも有り得るのです。
 
したがいまして、訴訟提起にはリスクも伴いますので、任意交渉で行き詰まった場合に、訴訟提起すべきか、他の解決手段を選択するかは、慎重に検討する必要があります。
 
以下、自賠責保険にて、後遺障害等級が認定されているにもかかわらず、訴訟で非該当と判断された裁判例を紹介しました。
訴訟提起に踏み切る際には、このような裁判例も存在するということを十分に認識した上で、判断をする必要があるといえます。
 
詳細は、裁判例をご確認頂く必要がありますが、以下のような事案の場合、訴訟に踏み切る前に、十分な検討が必要といえます。
 
①修理代が低額である場合(10~20万円以下の場合)
②画像所見等の他覚的所見が乏しい場合
 
当事務所では、事案を十分に分析して、訴訟提起によるリスクが存在する場合には、訴訟以外の解決手段を選択する等、きめ細やかな対応を取っております。