交通事故事件における弁護士の探し方、選び方
次の手順で、弁護士を探して、選ぶことをお勧め致します。
①以下に詳述した5つの要素(専門性、経験、人柄、場所、評判)を参考に3~5事務所くらいを選び出す。
②実際に電話をして、事務員、弁護士の電話対応を確認する。
電話対応で、明らかに印象が悪ければ、そこで取捨選択する。
③3つくらいの事務所を実際に訪問して弁護士と話をして、比較する。
それで、最終的に依頼する弁護士を決めるのが望ましいと思われます。
少し手間が掛かるのですが、弁護士の善し悪しは、最終的な賠償金の額にかなり影響します。
また、交通事故事案は、解決に至るまで短くても数ヶ月、長い場合は数年の期間を要します。つまり、それだけ長い間、依頼した弁護士と付き合いが生じることになります。
弁護士の力量に不安が生じたり、相性の悪い弁護士を選んでしまうと、苦痛な時間が続くことになってしまいます。
最初に、多少手間を掛けても、納得のいく弁護士を探して、選ぶ必要があります。
専門性
交通事故事件は、法律の知識以外に、後遺障害に関する知識、医学的知識、自動車工学の知識、保険の知識等の専門的知識が要求されますので、交通事故に精通した弁護士に依頼するのが望ましいです。
以下のような要素で専門性を見極めることをお勧めします。
交通事故に関する専門的なホームページ
専門性を見極めるのは、難しいのですが、交通事故に関する専門的なホームページを作っているか否かは、1つのポイントとなります。
もちろん、専門的なホームページを作っているから、直ちに、交通事故事件に精通しているとはいえないのですが、それなりの熱意を持って交通事故事件に力を入れていることは間違いないです。
専門的なホームページの記載内容を吟味することで、どの程度、交通事故に詳しいのか、ある程度読み取ることも可能です。
医学的知識
後遺障害に関しては、医学的知識に精通していることが不可欠です。
医学的知識に精通しているか否かは、ホームページの医学的記載、医師面談の実施の有無、顧問医の有無、放射線診断専門医との連携の有無などから、ある程度推測することができます。
外部的な活動
法律事務所のホームページの弁護士紹介のページを見ますと、各弁護士の経歴が掲載されています。
そこに、交通事故に関する研修講師、セミナー、書籍の出版、勉強会などの外部的な活動について記載されていることが多いです。
交通事故に関する外部的な活動は、専門性の高さを裏付けているといえます。
裁判例
弁護士が使用するような裁判例の検索システム(判例秘書、ウエストロー、TKC等)を使用できるのであれば、弁護士の名前で検索することで、過去に担当した裁判例を探すことができます。
当然ですが、交通事故の被害者側事件を担当した裁判例が多ければ、専門性が高い可能性が高いです。
※なお、インターネットで裁判例の検索をしようとすると、裁判所のホームページの「裁判例検索」が出てくることが多いですが、こちらでは、弁護士名からの検索はできないように見受けられます。
他の分野にどの程度注力しているか
交通事故以外の分野に、どの程度、注力しているかを確認することで、逆に、交通事故に関する専門性の程度が分かります。
つまり、他の分野にも力を入れているということになりますと、当然ですが、相対的に交通事故に関する専門性の程度が下がることになります。
他の分野に注力しているか否かは、
「当該法律事務所の名前 他の分野」(例:「○○法律事務所 離婚」)
で検索することで確認することができます。
離婚、相続、債務整理、企業法務などで専門的なホームページを作っているようであれば、それらの分野にも同様に力を入れていることになりますので、相対的に交通事故に関する専門性の程度が下がることになります。
グーグルのクチコミ
近時、法律事務所についてもグーグルのクチコミが書かれていることが多いです。
こちらに、交通事故の依頼者のクチコミが多ければ、ある程度、専門性が高いと判断できます。
逆に、他の分野の依頼者のクチコミが沢山あれば、他の分野にも力を入れていることが分かり、相対的に交通事故に関する専門性の程度が下がることになります。
経験
当然のことですが、交通事故事件について豊富な経験を有する弁護士が望ましいです。
以下のような要素で経験の豊富さを見極めることをお勧めします。
弁護士になってからの期間
弁護士名で検索しますと、日本弁護士連合会の登録番号というのが出てきます。
この登録番号が小さいほど、弁護士として登録された時期が早いことになり、弁護士になってからの期間が長いということになります。
弁護士になってからの期間が長くとも、全く交通事故事件を取り扱ってこなければ、交通事故の経験が豊富ということには繋がらないのですが、弁護士としての経験自体は豊富であることが確認できます。
裁判例
弁護士が使用するような裁判例の検索システム(判例秘書、ウエストロー、TKC等)を使用できるのであれば、弁護士の名前で検索することで、過去に担当した裁判例を探すことができます。
当然ですが、交通事故の被害者側を担当した裁判例が多ければ、交通事故事件について、豊富な経験を有する弁護士ということになります。
※なお、インターネットで裁判例の検索をしようとすると、裁判所のホームページの「裁判例検索」が出てくることが多いですが、こちらでは、弁護士名からの検索はできないように見受けられます。
解決事例
近時、法律事務所のホームページに、交通事故の解決事例が掲載されていることが多いです。
解決事例の数と記載内容から、経験の豊富さを推測することができます。
記載内容を吟味することで、どの程度、専門的な取り扱いをしているかを読み取ることができますので、数だけではなく、質も確認する必要があります。
グーグルのクチコミ
近時、法律事務所についてもグーグルのクチコミが書かれていることが多いです。
こちらに、交通事故の依頼者のクチコミが多ければ、ある程度、経験が豊富であろうと推測することができます。
人柄
交通事故事案は、解決に至るまで短くても数ヶ月、長い場合は数年の期間を要します。
つまり、それだけ長い間、依頼した弁護士と付き合いが生じることになります。
そのため、人柄が良く、相性の合う弁護士を選ぶ必要があるといえます。
以下のような要素で人柄を見極めることをお勧めします。
ホームページの弁護士紹介のページの挨拶文やメッセージ
弁護士の挨拶文やメッセージに、基本的な考え方、事件への取り組み姿勢などが垣間見られる内容が含まれていることが多いです。
挨拶文やメッセージは、弁護士の側で、かなり吟味した上で、掲載することが通常ですので、そこから弁護士の人柄がある程度見えてきます。
顔写真
ある程度の年齢になれば、顔にある程度、性格がにじみ出ていることが多いです。
日常的に高圧的な態度を取っている人は、それがある程度、顔にも出てしまっていることが多い印象です。
ただ、掲載する弁護士の側も、通常は複数枚の写真を撮影して、その中から、最も写りの良い1枚を選んでいる可能性が高いです。
そのため、「優しそうに見える」「誠実そうに見える」等のプラスの印象は、割り引いて考える必要があります。
(逆に、「高圧的な感じがする」「怖そう」等のネガティブな印象の場合、厳選した1枚の写真からも隠しきれない表情ということになりますので、かなり当たっている可能性が高いといえます。)
事務員の電話対応
法律事務所に電話をすると、通常、最初に電話に出るのは弁護士ではなく事務員です。
事務員の電話対応は、弁護士の普段の依頼者に対する対応が影響していることが多いです。
弁護士が、依頼者に対して、「殺伐とした対応」「おざなりな対応」をしていれば、それを間近で見ている事務員も「それで良いんだ」と思って、似たような対応をしてしまっている可能性が高いです。
逆に、弁護士がいつも親身な対応をしていれば、事務員もその影響を受けて、親身な対応をする可能性が高いです。
そのため、電話に出た事務員の電話対応から、弁護士の人柄をある程度推測することができます。
面談時の弁護士の対応
実際に、弁護士と面談をして話をするのが、一番人柄が良く分かります。
「親身になって話を聞いてくれるか」「人の話を遮って自分の話ばかりしたがらないか」「対応が高圧的でないか」等、すぐに分かることも少なくないです。
ただ、弁護士の側も、最初の相談ではある程度気を使っていることが多いので、慎重に対応を見る必要があります。
1人の弁護士と話をしただけでは良く分からないことも多いので、やはり、数人の弁護士と会って、比較するのが望ましいです。
場所
交通事故事件に関しては、以下の事由から、居住地の近くの地元の弁護士に依頼するのが望ましいです。
医師面談に対応できるか
交通事故事件の場合、医師面談をする必要が生じる場合があり、遠方の弁護士だと対応が難しいです。
あるいは、遠方だと本来は面談をした方が望ましいのに、手紙で済まされてしまい、良い結果に繋がらないこともあり得ます。
事故現場に行くことができるか
過失割合が問題となる場合、実際に事故現場に行く必要があることも少なくないです。
地元の弁護士であれば、そもそも、その事故現場の状況を知っていることも多いです。
特に、札幌の場合は、冬期、路面が雪道となります。
雪道の場合、センターラインが見えないことも多く、通常の過失割合と異なる取り扱いがなされることも多いです。
本州の弁護士に頼んでしまった場合、雪道の話をしても、チンプンカンプンでそもそも話が通じないということになってしまう恐れがあります。
交通事故紛争処理センターを活用できるか
任意の交渉が頓挫した場合、交通事故紛争処理センターを活用することが少なくないです。
ただ、交通事故紛争処理センターは、札幌を含めて、全国11箇所しか設置されていません。
もちろん、他地域の弁護士に依頼した場合でも、札幌まで足を運んでもらえるのであれば、活用できるのですが、やはり遠方であれば二の足を踏むことが多くなります。
また、弁護士費用特約が使えない事案の場合、出張旅費の費用負担の問題が生じることになります。
裁判官の個性を掴んでいるか
裁判を提起する場合、通常、事故発生場所か当事者の住所地が管轄となりますので、札幌であれば、札幌地方裁判所に申立をする必要があります。
近時、WEB裁判の活用が進んでいますので、遠方の弁護士でも対応ができないわけではないです。
ただ、札幌の弁護士であれば、常日頃、札幌地方裁判所の裁判官とやり取りをしていますので、個々の裁判官の個性を掴んでいることも少なくないです。
裁判官も人間ですので、当たり外れがあることは避けられません。
担当裁判官の個性を掴んでいることが事件の解決に影響を与えないとは言い切れません。
いざという時に弁護士と直接の面談ができるか
遠隔地であっても、ズームやチームズを使ったWEB面談が実施できるようになってきています。
企業法務の相談などでは、どんどん活用が進んでいる印象を受けています。
しかしながら、交通事故事案のように被害者の方が精神的ダメージを負っていて、慰謝料が問題となるケースでは、やはり実際に弁護士に直接に会うことができる面談が望ましいように感じています。
WEB面談は、非常に便利なものですが、やり取りをする際に、情報が1度電気信号に変換されてしまいます。被害者の方の事故に対する怒りや憤り、怪我を負わされたことによる精神的なダメージ、やりきれない想いなどは、必ずしも伝わりきらない印象を持っています。
また、交通事故事案は、必ずしも全てが当初の想定どおり進むとは限りません。
不測の事態が発生した場合、やはり、直接に会って話ができた方が、やり取りはスムーズに進みます。
※近時、東京近郊の事務所が、半ば意図的に、所在地が分からないような形の広告を出していることが散見されます。
事務所の所在地がどこなのかは、事務所名で改めて検索すればすぐに分かりますので、必ず確認された方が良いです。
評判
当然ですが、評判の良い事務所、弁護士が望ましいです。
以下のような要素で評判の善し悪しを見極めることをお勧めします。
グーグルのクチコミ
近時は、法律事務所についてもグーグルのクチコミが書かれていることが多いです。
当然ですが、良い評価が多い事務所が望ましいです。
ただ、良い評価であっても、よく読んで、具体的にどのような事案で、どのような対応をしてくれて、どんな成果が上がったのかまで、確認された方が望ましいです。
また、法律事務所においては、トラブルが発生した状態に介入していくという弁護士の業務の特質も影響してか、悪い評価を書き込まれてしまうことが避けられないです。
この悪い評価のクチコミの内容についても確認する必要があります。
特に、この悪い評価のクチコミにどのように対応しているかで、事務所の姿勢をみることができます。
完全に無視している場合、依頼者を軽視する事務所である可能性があります。
逆に、真摯に返答をしている場合、依頼者の話を聞く姿勢がある可能性があります。
ただ、グーグルのクチコミに返答ができることを知らない弁護士もいますので、その点は留意が必要です。
ホームページに掲載されたお客様の声
法律事務所のホームページに過去の依頼者のアンケート結果などが掲載されていることがあります。
これらは、当然、アンケート結果のうち、評判が良いものをある程度選別して掲載している可能性が高いです。
そのため、かなり割り引いて受け止める必要があるのですが、それでも、ある程度良い評価を受けている事務所と考えることはできます。
(なお、依頼者に対してアンケートを行っているという事実自体から、依頼者の意見を聞いて、事務所の運営に反映させようという意思を確認することができます。依頼者の話を聞き入れる姿勢が垣間見えるといえるかもしれません。)
医療機関の評判
通院している整形外科や整骨院に評判を聞いてみるということも考えられます。
交通事故に熱心に取り組んでいる事務所であれば、近隣の整形外科や整骨院と様々なやり取りが生じることが多いです。
そのため、一定の評価がなされている可能性があります。
悩みやすいポイント
特化型の専門的事務所か、何でも取り扱っている総合事務所か
特化型の専門的事務所をお勧めします。
交通事故だけでも、後遺障害に関する知識、医学的知識、自動車工学の知識、保険の知識等の専門的知識が要求されます。
交通事故事件の裁判例や文献も次々に新しいものが出されており、キャッチアップするだけでも相当な時間と労力が必要です。
また、特化型で交通事故事件を中心に取り組んでいれば、経験・知識・ノウハウの蓄積が加速度的に進みます。
何でも取り扱っている弁護士が、年間5件程度の交通事故事件を扱うとすれば、特化型の専門的事務所の弁護士は、少なくとも年間50件以上の交通事故事件を取り扱うのが通常です。
つまり、何でも取り扱っている弁護士の10年分以上の経験を、1年で取得することができます。
知識、経験の蓄積の差は、圧倒的といわざるを得ません。
全国展開型の事務所か、地元の地域密着型の事務所か
交通事故事件に関しては、地元に所在する地域密着型の事務所をお勧めします。
地元に支店があるか否か
全国展開型の事務所に関しては、地元に支店があるか否かが大きな選別ポイントの1つとなります。
交通事故に関しては、医師面談、過失割合が問題となった場合の事故現場の確認、交通事故紛争処理センターの活用、裁判管轄、直接の面談の可否などから、地元で弁護士が実際に活動できることが重要です。
そのため、全国展開型で、地元に支店がない事務所については留意が必要です。
(ただ、全国展開型の事務所は、地元に支店がある場合でも、東京等に問合せを集約していて、地元の支店では実務対応をほとんどしていないということもあるようですので、留意が必要です。)
弁護士の質について
実際に事件を担当するのは、通常、1人の弁護士になります。
その1人の弁護士が、力のある弁護士であれば、全国展開型の事務所であっても、地元の地域密着型の事務所であっても、関係ないともいえます。
ただ、細かく分析すると、全国展開型の事務所に所属する弁護士は、「寄らば大樹」の考えを持ったどちらかといえば安定志向の強い弁護士が多い印象があります。
また、事務所の存亡について責任を負う代表弁護士が、地方の支店には居ないので、監督の目が行き届きにくいという問題もあります(支店長がいるといっても、支店長自身、雇われで、経営についての判断権限や最終的な責任を負わない立場であることが通常です。)。
そのため、全国展開型の事務所は、業務の質が、個々の弁護士の倫理観、資質次第ということになりがちであり、責任感も薄くなりがちといわざるを得ません。
弁護士1人の事務所か、多人数の事務所か
一概にどちらが良いとはいえません。
ただ、弁護士の力量がはっきり分からない場合、多人数の事務所の方が無難ではあります。
良い事件の解決ができるか否かは、結局は担当する弁護士の力量次第です。
弁護士1人の事務所であっても、その弁護士が間違いなく優秀な弁護士であれば全く問題はないです。
ただ、多人数の事務所の方が、より多くの事件を取り扱うことができますので、ノウハウが蓄積しやすい側面があるとはいえます。
弁護士費用が高い事務所か、安い事務所か。
比較して明らかに高額とかでなければ、他の要素で選択すべきです。
弁護士費用は、現在、自由化されているので、事務所ごとに若干異なることがあります。
ただ、交通事故事件に関しては、事務所ごとに、大きくは異ならない印象を持っています。
また、弁護士費用の金額以上に、弁護士の力量次第で、賠償金の額が変わることも少なくないです。
そのため、大きく変わらないということであれば、他の要素で、優秀な弁護士を選択した方が良いということになります。
ただ、比較して、費用が「突出して高い」とか、「突出して安い」というのは何か問題がある可能性があるので、少なくとも費用の確認はして、他の事務所と大きく異なるようであれば注意された方が良いです。
保険会社側か、被害者側か
被害者側の弁護士を選択されるのが無難です。
良い事件の解決ができるか否かは、結局は担当する弁護士の力量次第です。
そのため、本来的には、保険会社側でも被害者側でも、あまり関係ないということになります。
実際、保険会社側でも優秀な弁護士はいる印象を持っていますし、保険会社側の弁護士も、通常は被害者側の事件を多数取り扱っています。
ただ、一般論にはなりますが、長らく保険会社と付き合って、保険会社側の主張を繰り返し行っていますので、少なからず保険会社の考えの影響を受けてしまっている印象があります。
そういった意味では、被害者側の弁護士を選択された方が無難ではあります。
ポータルサイト
専門性評価の指標の1つと捉えるのが良いです。
ポータルサイトとは、「札幌 弁護士 交通事故」などのキーワードで検索した際に、「交通事故に強い弁護士一覧」などの表題で、札幌市内の弁護士が多数表示されるサイトのことです。
ポータルサイトは、有料広告ですので、月額の費用さえ支払えば、基本的にどの弁護士でも掲載されます。掲載にあたり、交通事故に本当に強いかどうか、リサーチされているという話は聞いたことがありません。
そのため、基本的には、交通事故に力を入れたいという弁護士ではあるものの、その専門性は担保されていないというのが実情です。
交通事故に力を入れたいものの、自分でホームページを作るまでの熱量はないという場合が多いです。
したがいまして、あくまで専門性評価の指標の1つと捉えるのが良いかと思われます。
知人等からの紹介
面談をする候補の1人として捉えるのが良いです。
知り合いから弁護士を紹介された場合、大きなハズレの弁護士に当たることは避けられると思います。
ただ、その紹介された弁護士が、交通事故にどの程度精通しているかは、慎重に吟味した方が良いです。
また、その知り合いの方は、その弁護士と相性が良かったのかもしれませんが、自分と相性が合うかどうかは慎重に見極める必要があります。
そのため、知り合いからの紹介だからといって、直ちに依頼するのではなく、実際に面談をして話をしてみる候補の1人として考えるのが安全です。
保険会社の紹介
紹介された弁護士の力量をきちんと精査する必要があります。
自分が加入している自動車保険会社から弁護士の紹介を受けるという場合も多い印象を持っています。
ただ、自分が加入している自動車保険会社が紹介するのは、基本的に自社の顧問弁護士か、日弁連LACに登録している弁護士のいずれかである場合が圧倒的に多いです。
保険会社の顧問弁護士
保険会社の顧問弁護士は、交通事故には詳しいですが、普段は保険会社側で活動している弁護士であることに留意する必要があります。
日弁連LAC(日弁連リーガル・アクセス・センター)
保険会社は、被害者も加害者も同じ保険会社であった場合、自社の顧問弁護士を紹介することができません。
そのため、日弁連LACに登録された弁護士を紹介することになります。
ただ、この日弁連LACは、基本的に弁護士であれば、誰でも登録できるものであり、多くの弁護士が登録しているという実情があります。
つまり、日弁連LACに登録されているからといって、交通事故に特に詳しいわけではありません。
紹介された弁護士の力量をきちんと精査する必要があります。
知り合いの弁護士からの紹介
有力な候補の1人として捉えるのが良いです。
もし、知り合いに弁護士がいる場合、その弁護士に、交通事故に強い弁護士を紹介してもらうということが考えられます。
弁護士であれば、特定の分野に詳しい弁護士を知っている可能性は高いです。
ただ、どこまで、他の弁護士の得意分野について精通しているのかは、慎重に吟味する必要があります。
弁護士の友人、知人が沢山いて、頻繁に飲みに行ったり、ゴルフに行ったりしていても、そういった場で、専門分野や得意分野について話をすることは決して多くないからです。
また、弁護士なので、その交通事故に強いという弁護士に対して、実際に仕事を依頼した経験はない可能性が高いです。
つまり、その弁護士が、ある程度、交通事故に詳しいことは知っていても、その弁護士の実際の仕事ぶり、裁判での対応、任意交渉での対応、依頼者とのやり取りの対応等については、ほとんど知らないことの方が多いです。
そのため、知り合いの弁護士の紹介だからといって、直ちに依頼するということではなく、あくまで、有力な候補の1人として捉えた方が安全です。
グーグルビジネスプロフィール
自然検索の結果と同様、一定の評価をしても良いと考えます。
グーグルの自然検索を行うと、自然検索の結果以外に、グーグルマップと一緒に、3つくらいの法律事務所が評価付きで表示されます。
こちらは、ホームページの記載、クチコミなどから評価された結果に基づき、検索キーワードとの関連度が高いものが順に表示されているようです。
このグーグルビジネスプロフィールに関して、グーグルが上位と評価している法律事務所については、自然検索と同様に一定の評価をしても良いように思われます。
ただ、自然検索と同様、有料の広告枠が一番上に出ることがあります。
(広告枠は、現状、左上に「スポンサー」と明記されています。)
有料の広告枠は、単にお金を支払っているだけの広告になりますので、留意が必要です。
簡易な選別方法
以上に詳述した要素で、弁護士を選別するのが望ましいといえます。
ただ、被害者の方が、怪我をして具合の悪い状況下、仕事や通院の合間の貴重な休息時間を使って、詳細な検索、検討をすることは容易ではないです。
そこで、代替的な方法として、①の選別について、グーグルの自然検索に委ねるという方法も有り得るように思われます。
具体的には、グーグルで「地域名 弁護士 交通事故」(例「札幌 弁護士 交通事故」「福岡 弁護士 交通事故」)等のキーワードで検索して、上位に出てくる3~5つの法律事務所を選別するということが考えられます。
近時、グーグルの検索エンジンも進展が著しいですので、ある程度信頼しても、必ずしも間違いではないように思われます。
グーグルの検索エンジンというデジタルな選別方法と、実際の法律事務所への電話、弁護士との面談というアナログな選別方法を組み合わせることで、大きな選択の失敗は避けられるように思われます。
ただ、注意が必要なのは、あくまで自然検索で上位に出てくる事務所ということです。
現在は、グーグルの広告枠が設定されており、普通に検索すると、自然検索より上に1~4つくらい有料の広告を出している事務所が出てきます。
(広告枠は、現状、左上に「スポンサー」と明記されています。)
これは、お金で買える広告枠になるので、必ずしも交通事故に詳しい事務所としてグーグルが選別したものではないです。
そのため、自然検索で上位に出てくるという点が極めて重要です。
他の分野の事件の弁護士の探し方、選び方
交通事故事件の弁護士の探し方、選び方を詳述してきましたが、専門性、経験、人柄、場所、評判で選別するのが望ましい点は、他の分野の弁護士を探して、選ぶ場合でも、大きくは変わらないといえます。
ただ、企業法務のように、精神的ダメージによる慰謝料などがあまり問題とならない比較的ドライな内容の事件の場合、ズームやチームズのようなWEB面談でも支障が生じることは少ないといえます。
そのため、企業法務に関しては、場所はあまり考慮しなくても良いと思われます。