脊柱管狭窄による素因減額

脊柱管が先天性ないし発育的に狭小であったり、後天性に狭小化したもので、種々の疾患にみられる病態であり、腰椎部、次に頸椎部に多いといわれています。
 

頚部脊柱管狭窄

脊柱管は脊髄を骨性に保護する重要なスペースであり、大きさは個人差があるとされていますが、単純X線側面像で脊柱管前後径を測定して、日本人におけるC5/6頸椎高位での平均前後径は男性17ミリ、女性16ミリとされ、14ミリ以下では狭窄と判断されています。11ミリ以下では圧迫性の頸髄症を生ずる危険性が極めて大きいとされています。
ただし、無症候性の加齢性変化は頸椎に多く見られるので、直ちに病的と判断してはならないと指摘されています。
 

腰部脊柱管狭窄

腰部脊柱管狭窄とは、脊柱管内を走行している神経組織(馬尾、神経根)と周囲組織(骨あるいは軟部組織)との相互関係が何らかの理由で破綻して、神経症状が引き起こされた状態です。
腰部脊柱管狭窄には様々な疾患や病態が混在しているので、腰部脊柱管狭窄は1つの疾患単位とするよりも種々の腰椎疾患にみられる1つの病態として、把握しておくのが適当であると指摘されています。


裁判官の見解 

鈴木祐治裁判官は2009年版赤本講演録で、
「脊柱管狭窄に関する裁判例は、後縦靱帯骨化症や椎間板ヘルニアと異なり、素因減額を認めないものも相当数あります。
素因減額を否定する理由としては、経年性の変化で疾患には当たらないとするものや、脊柱管狭窄の程度が不明であるとするものがあります。他方、素因減額を認める理由としては、観血的処置を要するものであったとするものや、事故前から通院治療していたとするものがあります。」と述べられています。