椎間板ヘルニアによる素因減額

 頸椎椎間板ヘルニア

頸椎は全部で7つあり、各頸椎間には椎間板と呼ばれる組織があります。
この上下の頸椎を繋ぐ椎間板はある程度の弾力がありますが、この椎間板の組織が壊れて脊髄や神経根を圧迫するようになったものが頸椎椎間板ヘルニアです
 

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎は幾つかの靱帯や椎間板と呼ばれる一種のクッションのような働きをする組織によって、つながれています。
椎間板は、外側部分を構成する線維輪という靱帯のような構造物と、中心部に含まれるかなり軟らかい髄核とよばれる構造物から成り立っています。
この椎間板のうち線維輪が弱くなって全体として膨隆したり、線維輪が断裂して中の髄核が脱出したりして、近くにある神経を圧迫するようになったものが腰椎椎間板ヘルニアです。
 

裁判官の見解

鈴木裕治裁判官は、2009年版赤本講演録において、
「椎間板ヘルニアに関する裁判例は、そのほとんどが素因減額を肯定し、多くは2、3割の減額をしていますが、中には5割以上の減額を認める例もあります。
なお、本件事故前には腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことはなく、また、そのような症状も出ていなかったこと、本件事故態様でもヘルニアが発症する可能性のあることが認められることを理由に、当該事故によりヘルニアを発症したと認定した裁判例や、頸部椎間板ヘルニアについては、本件事故と無関係に発症した可能性を否定できず、また、本件事故が明確に寄与したものと認めるに足りる証拠もないとして、本件事故との因果関係を認め、かつ、腰椎に加齢性の変性等が事故前から存在したと認めるに足りる証拠はないとして素因減額を否定した裁判例もあります。」と述べられています。
 
「ほとんどが素因減額を肯定し、多くは2、3割の減額をしています」とされていますが、これは、事故前に椎間板ヘルニアが存在して、既に症状が発症していたことが加害者側によって立証された場合を指していると思われます。
 
事故前の既往症として椎間板ヘルニアが存在して、既に症状が発症していたような場合には、素因減額が争点となり、一定割合の減額が認められる傾向にありますので、そのような場合には、的確な反論、反証が必要となります。