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自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について(平成19年2月2日付)

 国土交通省の指摘

 平成18年の時点で、国土交通省から、以下の指摘を受けていることが明らかにされています。

・現行の認定システムでは認定されない高次脳機能障害者が存在するのではないか
・認定システムを見直し、一層の被害者保護を図る必要がある

専門家の意見陳述

専門家から以下のような意見陳述を受けています。

・画像診断を行った281名中、高次脳機能障害を説明する所見が得られなかった例は42名(15%)であった
・脳外傷後後遺症実態調査で、急性期意識障害なしは、5.4%
・現時点で画像診断による器質的な病変の確認が困難な症例についてはWHOの診断基準に基づき「軽度脳外傷(MTBI)」と診断されるべきであること

報告書の結論

国土交通省の指摘、専門家の意見陳述を踏まえて、検討が行われていますが、結論としては以下のような報告がなされています。

・MTBIについて、CT、MRI等の画像所見がなく、相当程度の意識障害もない事例について、脳外傷による高次脳機能障害の存在を確認する信頼性のある手法があるとはいえないので、当面、従前の方法によるしかない。
・被害者の精神症状のみから、その原因が器質因か、非器質因かを鑑別することができるとの見解も示されたが、現在の医科学的な知見に照らして採用できない。
・PET、MRS、拡散テンソルMRI、NIRSについては、なお一層の検査法としての確立を待つ。

コメント

 本報告書からは、自賠責保険が、CT、MRI等の画像所見及び相当程度の意識障害を重視する現行の認定システムでは、救済されない被害者が一定数存在するであろうことを十分に認識しているということが分かります。
しかしながら、自賠責保険は、現時点の医科学の限界により、一部、認定から漏れてしまう人が生じることはやむを得ないという結論を下していると読み取れます。
 
したがいまして、自賠責保険の認定システムから漏れてしまった被害者については、裁判を通じて救済を求めるほかないということになります。