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桝田・丹羽法律事務所

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自賠責保険と労災保険の後遺障害認定において、違いが生じる理由

以下のとおり、根拠法規の目的、認定主体、認定の基礎となる資料、認定基準、認定対象が異なることが、自賠責保険と労災保険の後遺障害認定において違いが生じる(労災の方が等級が重くなりやすい)理由となっていると思われます。
 

根拠法規の目的が異なる

自賠責保険の根拠法規

自動車損害賠償保障法
同法の目的は、「被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資すること」と規定されています。
被害者の保護に主眼が置かれていますが、自動車運送の健全な発達も主たる目的とされていますので、加害者の負担すべき損害賠償も念頭に置かれていると考えざるを得ません。
 

労災保険の根拠法規

労働者災害補償保険法
同法の目的は、「労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与すること」と規定されています。
基本的に専ら労働者の保護に主眼が置かれています。
したがって、後遺障害の認定においても労働者の保護の方向で検討がなされることになりやすいと推測されます。
例えば、認定基準にギリギリ該当するか、該当しないか悩ましい場合などに、認定の方向で判断されやすいのではないかと思われます。
 

認定主体が異なる

自賠責保険

自賠責保険から委嘱を受けた損害保険料率算出機構が事実上、認定を行います。
(具体的には、各地域の自賠責損害調査事務所。札幌の場合、札幌自賠責損害調査事務所)
損害保険料率算出機構については、民間保険会社の代表取締役が理事に名を連ねています。
そういったこともあり、加害者の負担すべき損害賠償もかなりの程度念頭に置かれていると考えざるを得ません。
    

労災保険

労働基準監督署長が認定を行います。
労働基準監督署長は、普段から労働者の保護に尽力をしています。
そのため、後遺障害の認定においても、労働者を保護する方向で検討されることになりやすいと推測されます。
 

認定の基礎となる資料が異なる

自賠責保険

基本的に、定型の書面の審査が中心で、被害者の方の話を直接聞き取ることはありません。
 

労災保険

書面審査のみではなく、労基署の担当者が被害者である労働者から自覚症状や就労への具体的な影響について、実際に聴き取りを行っています。
また、主治医が作成する後遺障害の診断書等の書面の様式も自賠責保険とは異なっています。
そのため、認定の基礎となる資料が自賠責保険と異なっています。
特に、被害者自身の声を、直接に聴くことが違いを生じさせる大きな要因になっていると推測されます。
 

認定基準が若干異なる

自賠責保険の認定基準は、基本的に労災保険の認定基準に準拠しています。
しかし、高次脳機能障害、神経症状、醜状障害等においては、基準自体が若干異なっており、そのことも、認定される等級に違いが生じる原因の1つとなっています。
 
認定基準が異なる理由として、後述のとおり、認定対象が異なることが挙げられています。
労災保険は労働者のみを対象としていますが、自賠責保険は労働者に限らず幼児、学生、高齢者等全ての人を対象にしています。
 

認定対象が異なる

自賠責保険 

労働者に限らず、交通事故の被害者である幼児、学生、高齢者等全ての人
 

労災保険

労働者