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桝田・丹羽法律事務所

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名古屋地裁昭和63年2月26日判決

事案の概要

昭和57年12月16日 受傷(急停車したところ後方から追突された。修理代不明)
昭和60年   9月27日 症状固定(自賠責14級認定)
       

自賠責保険の判断

自賠責は、腰部挫傷に基づく腰痛で、後遺障害等級14級認定しています。
       

裁判所の判断

裁判所は、
①腰部圧痛はあまりに限局性が明瞭でないこと
②ラセグ徴候があるのに反射の異常がないこと
③圧痛点が坐骨神経の走行に合うとはいえないこと
④MRIで痛みの裏付けとなる所見が見られないこと
等の鑑定結果に基づき、腰痛は、原告の単なる主訴にとどまるとして、後遺障害を否定しました。
      
症状固定まで、約2年9ヶ月通院されていましたが、症状固定の時期も鑑定人の意見に基づき、約半年後の昭和58年5月31日とされてしまっています。
       
その結果、自賠責保険からの195万円で、損害は全て塡補済みとして、請求自体、棄却されてしまっています。
       

弁護士の所感

本件は、鑑定人の見解が裁判所の心証形成に大きな影響を与えたと考えられます。
ただ、鑑定人は、12級レベルのシビアな証明を求めているように思われ、14級で求められている「障害の存在が医学的に説明可能か否か」という基準とはズレているように思われます。
裁判所は、そのことを認識しているのだと思われますが、鑑定人の意見に引っ張られてしまったと思われます。
      
古い裁判例なので、現時点では、必ずしも参考にならないともいえます。
ただ、医学的な所見が薄弱な場合、訴訟にはリスクがあるということが分かります。