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桝田・丹羽法律事務所

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大阪地裁平成29年3月14日判決

事案の概要

平成25年11月23日 受傷(原付バイクに乗車中、加害車両の進路妨害を回避しようとして転倒)
平成26年11月14日 症状固定(固定時53歳)
 

診断名

左上腕骨頸部骨折
左肘膝擦過傷
 

自賠責保険の判断

→左肩関節の可動域制限で、10級10号の認定

 
屈曲 80 155
外転 80 160
(全て他動値)
 

裁判所の判断(逸失利益)

喪失率 :14%    
喪失期間:14年
 
事故時の職業:個人会社代表取締役

  屈曲 外転
1月8日 75 70
1月10日 80 85
3月17日 110 90
4月25日 115 90
6月2日 120 130
6月25日 130 120
7月2日 140 120
8月20日 130 測定なし
11月14日 80 80
(全て他動値)
 
概ね順調に改善して、症状固定の約3ないし4ヶ月前には屈曲130、外転120度まで改善しています。
→裁判所は、後遺障害診断書上の可動域角度を症状固定時の可動域角度とは認定できないとして、屈曲130、外転120度を固定時の角度と認定しました。
その結果、健側の2分の1以下ではなく、4分の3以下にとどまるとして、12級6号の認定をしました。
→最終的に、喪失率は、14%14年間と認定されています。
 

弁護士の所感

この事案も、送付嘱託を通じて開示された医療記録に、症状固定時と異なる可動域角度が記載されていたものと推測されます。
この事案も、可動域の推移をみる限り順調に改善しているように見えます。
 
原告代理人は、以下のとおり反論したようですが、採用されていません。
・リハビリ期間中と後遺障害診断時では、可動域角度測定の目的が異なる。
・リハビリ期間中と後遺障害診断時では、測定器具が異なる。
 
訴訟提起前に、医療記録を取り寄せたところ、このような記載がなされていた場合、代理人としてどのように活動すべきか悩ましいところです。
少なくとも、可動域角度の違いについて、合理的に説明することができるのか、検討する必要があります。
 
いずれにしても、訴訟提起前に医療記録を精査する必要があることを示唆する裁判例です。