遷延性意識障害における在宅介護について

交通事故により被害者が遷延性意識障害に陥った場合、一般的には症状固定後においても、医療機関等への入院を継続しているケースが多いです。
しかしながら、ご家族が、被害者を慣れ親しんだ自宅にて、介護していきたいと考えるようになることも少なくありません。現実問題としても、病院や施設での定型的な介護より、自宅でのきめ細やかな介護の方が、被害者にとっても望ましいということもあります。
さらには、病院に入院している限り、他の患者さんとの接触を完全に断つことは難しいため、肺炎等の院内感染のリスクもないとはいえません。
そこで、ご家族の意向を前提として、自宅介護による損害賠償請求をしていくことがあります。自宅介護の場合は、病院や施設での介護に比べて、賠償額が倍くらい異なってくるのが通常です。
このため、支出額を抑えたい保険会社は、医療機関や施設での介護を前提にすべきであると主張してくるのです。
 
本来的には、被害者が自宅にて生活することを加害者側の保険会社に咎められる理由は一切ないのですが、自宅介護を否定した裁判例も存在しますので、やはり、的確に反論していく必要があります。
具体的には、自宅介護できるだけの人的環境(訪問ヘルパー、訪問看護師等)・物的環境(バリアフリー化、リフター設備等)が十分であること、容態が急変した場合にも迅速に対応できる環境が整っていること、現実に自宅での介護が可能であると主治医が判断していること等を主張・立証していくこととなります。

示談交渉時には、病院や施設で介護をしていても、症状が落ち着いてくると自宅に連れて帰りたいと考えられるご家族が多いです。
その時に、既に施設での介護を前提とした示談をしてしまっていると、金銭的な負担がハードルとなって物理的に自宅での介護を選択できなくなってしまいます。
示談する前に、必ず弁護士に相談することをお勧め致します。