遷延性意識障害における生活費控除について

生活費控除とは、通常、交通事故で亡くなった方の逸失利益を算定する際に使われる概念です。被害者の方が亡くなられた場合には、当然ではありますが、食費や被服費等の生活費が掛からなくなります。そこで、被害者の生前の収入を基に算出した逸失利益から、生活費に相当する金額を控除して、正確な逸失利益を算定することとしています。
 
保険会社は、この考え方を遷延性意識障害の被害者に対しても適用しようとしてくることがあります。つまり、「遷延性意識障害の被害者は基本的に寝たきりなのだから、被服費や交通費、通信費、交際費等は、ほぼ支出を要しないはずだ」として、生活費相当額を逸失利益から控除すべきと主張してくるのです。
 
そもそも、遷延性意識障害の被害者の生活費が、健常人より少ないとは言い切れませんので、このような主張は、通常、裁判では認められない傾向にあるのですが、一部、遷延性意識障害の事案において、一定額を生活費控除として認める裁判例も存在しますので、的確に反論していく必要があります。