遷延性意識障害における余命期間について

逸失利益や将来介護の算定に当たっては、被害者の方の余命期間を定めることが不可欠となってきます。本来、人の余命期間を定めることは、不可能ですが、交通事故における賠償金の算定に当たっては、通常、厚生労働省大臣官房統計情報部作成の「簡易生命表」に基づいて、余命期間を便宜的に定めています。
例えば、30歳の男性であれば、余命期間は50.69年(平成24年現在)ということになります。
 
当然ではありますが、余命期間が長ければ長いほど、賠償金の額は大きくなっていきます。
そこで、賠償金の額を低く抑えるべく、保険会社は、「遷延性意識障害となった人の平均余命は、健常者と比べて短いのであって、おおよそ10年程度である」との主張をしてくることがあります。
保険会社は、一定のデータや医師の意見書を基に主張してくることもあり、実際に、遷延性意識障害の被害者の平均余命を症状固定から12年とする判断を是認した最高裁判例も存在しますので、訴訟においては的確に反論していく必要があります。
 
「遷延性意識障害となった人の平均余命は健常者より短い」などという主張は到底、認められるべきものではありませんし、実際、裁判例の多くは、そのような保険会社側の主張を否定しています。